ホスト国の主役として優勝を狙った室伏だが、まさかの失速だ
大阪世界陸上2007第3日(27日、大阪・長居陸上競技場=同競技場付近)アテネ五輪男子ハンマー投げ金メダルの室伏広治(32)=ミズノ=は今季自己最高の80メートル46を記録したが、6位に終わった。
大阪世界陸上第3日
崖っぷちに追い込まれた“ドクターK”から雄叫びは出なかった。6位から逆転を狙って投げた最終の6投目。室伏が首をかしげながら見守ったハンマーは、80メートルラインの向こうで芝生をえぐった。今季自己最高の80メートル46でも上位に届かない。アテネ五輪金メダリストが、まさかの完敗だ。
「自分のできることはやった。ハンマー投げの全体のレベルが過去にないぐらい高かったことと、そこに自分がいられたことはよかった」
強力ライバルに囲まれた厳しい戦いだった。世界陸上3連覇を狙うチホン、ヘルシンキ銀のデビャトフスキー(ベラルーシ)が、2投目で80メートル95。予選で唯一80メートルを超えたハルフレイタグ(スロバキア)も、2投目に80メートル93を投げた。12人中、3投目までに5人が80メートル超えというハイレベルな争い。室伏は1投目こそ76メートル94に終わったが、2投目で雄叫びとともに79メートル46と今季自己最高を更新。第3投では、今季初の80メートルスローを見せた。最後も渾身のスローを見せたが、03年から続けている出場試合の連勝は「18」でストップ。アテネから3年、ライバルのパワーアップを感じさせられた一夜だった。
今年は、中京大大学院体育学研究科での博士論文「ハンマー頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」を仕上げるため始動が遅れ、初実戦は6月の日本選手権。1年に2回作るピークを1回に減らして臨んだ世界の舞台。言い訳にはしなかったが、実戦機会の少なさが影響したのか。それでも北京五輪A標準記録を突破して入賞したため、日本人第1号で五輪代表に内定した。これからは、北京でのリベンジに向けた1年だ。
「自分の練習をしっかりすることが大事。目標も立てやすいし、いいんじゃないですか。大阪をステップに、しっかり作戦を立ててやりたい」
大阪から北京へ。次は五輪の舞台で、表彰台の真ん中で金メダルを掲げてみせる。
★室伏に聞く
−−どれくらいの記録を意識して投げたのか
「自分が思いきり投げた記録がどれくらいかは考えていませんでした」
−−今回はシーズンのピークを1回に減らす調整で臨んだが
「そのとき、自分のベストと思う決断をしてきたので、よかった」
−−終了後、チホンと並んでウイニングランに参加したが
「寝ころんで見ていたら失礼でしょ。みんなに応援してもらいたかったからね。海外メディアにも聞かれたけど、それが日本人のやり方だって、答えておきましたよ」
−−他選手のレベルアップを感じたか
「いろんな研究もしているでしょうしね。ハンマー投げが盛り上がっていくことはうれしい」
−−北京五輪内定第1号だが
「いいことですね。それを励みに頑張りたい」
−−北京に向けて
「自分でやっている練習は自信を持っていますし、時間をかけてやれればいい。ピークを五輪に合わせていきたい。来年はもう少し試合に出ると思います」
■そのとき
スタンドでビデオを撮りながら見つめていた父でコーチの重信さん(61)=写真右=は「高レベルの試合だった。広治は良くやった」とねぎらった。「80メートルが出ればまあまあ。ほか(の選手)が強かった。来年の北京五輪を大きな目標に、もっと安定した動きができるようにしないと」。室伏一家と20年来の交友がある中京大陸上部の勝亦紘一部長(64)は「距離的には合点がいってるだろう。北京に向けて課題を整理してくると思う」と期待した。
■今大会の五輪内定基準
男女マラソンは日本人最上位のメダル獲得者。その他の種目は「北京五輪参加標準記録A」のタイムを切って、日本人最上位で入賞した者